2025年8月22日、エスコンフィールドで行われた首位ソフトバンクとの直接対決。手に汗握る展開の末、北海道日本ハムファイターズが4-3で勝利し、その差をぐっと縮める大きな一勝を手にしました。
この日の主役は、なんといっても決勝ホームランを放った万波中正と、8回のピンチを完璧に抑えた斎藤友貴哉投手でしょう。
苦しんでいた男の一振り。万波が試合を決めた!
3-3の同点で迎えた7回裏。この試合のクライマックスが訪れます。 マウンドにはソフトバンクの3番手・藤井皓哉投手。ファイターズの先頭打者は、ここまで苦しいシーズンを送っていた万波でした。
今季、打率がなかなか上がらず、本人もファンももどかしい思いを抱えていたはずです。しかし、この大一番で、万波が持っている「何か」をやってくれると信じていたファンも多かったのではないでしょうか。
その期待に応えるかのように、万波は藤井投手の投じた初球を完璧に捉えます。 打球はライトスタンドへ一直線。均衡を破る、起死回生の勝ち越しソロホームラン!エスコンフィールドが割れんばかりの大歓声に包まれました。
試合後、新庄監督は万波についてこう語っています。
「いやあ、ああいう所で決めてくれる男とは信じてましたけどね。やっぱり点を取るのは1発」
不振の中でも、万波の持つポテンシャルと勝負強さを信じ続けていた監督。その信頼に応えた最高の一発でした。監督は「トスバッティングのように、とにかく芯に当てようと伝えてました」とも明かしており、技術的なことよりも、原点に立ち返るシンプルなアドバイスで万波を後押ししていたことが伺えます。
監督の信頼と、それに応えようとする選手の思い。この一発は、そんな二人の関係性から生まれたホームランだったのかもしれません。
息詰まるシーソーゲーム
この日の試合は、最終盤までどちらに転ぶかわからない、まさにシーソーゲームでした。
2回にソフトバンクの中村晃選手、今宮健太選手の連続ホームランで2点を先制される苦しい展開。しかしファイターズも直後の3回、清宮幸太郎選手のタイムリーと、アリエル・レイエス選手の逆転2点タイムリーで一気に試合をひっくり返します。
さすが首位ソフトバンクと言うべきか、6回には牧原大成選手のタイムリーで同点に。一進一退の攻防が続き、球場のボルテージは最高潮に達していました。
この緊迫した試合展開があったからこそ、7回の万波の一発がより劇的なものになりました。
8回、斎藤友貴哉の圧巻リリーフ
万波のホームランで勝ち越したものの、まだ試合は終わりません。8回表、ファイターズのマウンドには斎藤友貴哉が上がります。 対するソフトバンクは、近藤健介、山川穂高、中村晃というパ・リーグを代表するクリーンナップ。1点差のこの場面は、試合最大の正念場でした。
しかし、今の斎藤にはそんなプレッシャーは関係なかったようです。 近藤選手をショートゴロ、山川選手もショートゴロ、そして中村晃選手をライトフライに。なんと、この強力打線をわずか数分で三者凡退に仕留めてみせました。
このピッチングには新庄監督も「いやあ、しびれましたね。なんかもうマウンドで堂々としてる」と大絶賛。
さらにこの回、監督は打者一人ひとりに対し、外野の守備位置を細かく変更する采配を見せました。投球のリズムが崩れかねない難しい指示ですが、監督は「斎藤君じゃなかったらあそこはチェンジチェンジはしてないかもしれない」と語ります。どんな状況でも動じない斎藤への絶大な信頼があったからこそできた、まさに神采配でした。
デッドヒートをファンと共に
斎藤の好リリーフで流れを完全に引き寄せたファイターズは、最終回を柳川大晟投手が締め、ゲームセット。
この一勝は、単なる1勝以上の価値があります。選手たちの活躍はもちろん、随所に見られた新庄監督の緻密な戦術と大胆な采配ががっちり噛み合った、まさに会心の一勝だったと言えるでしょう。
試合後、新庄監督はファンに向けてこうメッセージを送りました。
「きっちり明日あさって勝たせてもらって、デッドヒートをファンのみんなに見せられたら、もう言うことないですけどね。(23日も)今日みたいな試合になると思いますけど、盛り上がりましょうよ」
ペナントレースの行方を大きく左右する天王山。この勝利の勢いそのままに、明日以降の戦いも期待せずにはいられませんね!
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