日本ハム、8点差からの猛追をしのぎ辛勝。上原がピンチを救う。

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序章:楽勝ムードから一転、緊迫の展開へ

最終スコア、8-6。この数字だけを見れば普通の勝利に見えるかもしれません。しかし、9月2日にZOZOマリンスタジアムで行われたこの一戦は、日本ハムファイターズの楽勝ムードから一転、終盤にロッテマリーンズの猛追を受ける緊迫した試合となりました。

試合後、新庄剛志監督は「2-0でいいゲームでしたね。と思えば、楽でしたね」と笑顔で語りました。この言葉には、単なる1勝以上の価値をこの試合から見出そうとする指揮官の考えが隠されています。

第1部:ファイターズの猛攻

試合は序盤、ファイターズ打線が繋がり、大量リードを奪う展開となりました。

1. 3回の集中打

試合が動いたのは3回表。五十幡亮汰選手のスリーベースヒットでチャンスを作ると、水谷瞬選手のタイムリーツーベースで先制。さらにレイエス選手、田宮裕涼選手のタイムリーヒットも飛び出し、この回一挙5点を奪いました。ファイターズは打者一巡の猛攻で試合の主導権を握ります。

2. 6回の追加点と新庄采配

6回表にもファイターズはチャンスを作ります。二死一、三塁から水谷選手がタイムリーヒットを放ち6点目。さらに続く場面で、新庄監督はダブルスチールを敢行。三塁走者がホームインし、貴重な7点目を奪いました。

この采配について、新庄監督は「すんなり終わらないと思っていたので。ダブルスチールで、1点でも多く取っておこうと。あれ、効きましたね」と振り返ります。大差がついた場面でも油断せず、次の展開を読んでの一手でした。この後、ファイターズはさらに1点を加え、リードを8-0としました。

第2部:ロッテの猛追

盤石に見えた8点のリードでしたが、野球の難しさはここからでした。

1. 伊藤大海、7回2失点

ファイターズの先発・伊藤大海投手は、6回まで無失点と好投を続けていました。しかし7回裏、ソト選手に2ランホームランを浴び、8-2とされます。伊藤投手は7回121球、9安打2失点でマウンドを降りましたが、この2失点が終盤の猛追のきっかけとなりました。

2. 悪夢の8回

8回裏、伊藤投手の後を継いだリリーフ陣がロッテ打線につかまります。2番手の玉井大翔投手、3番手の齋藤友貴哉投手が立て続けに失点。四球やヒットでピンチを広げると、タイムリーヒットを浴び、スコアはあっという間に8-6。わずか2点差にまで追い上げられました。

第3部:上原健太、ピンチを救う好リリーフ

なおも二死一、二塁、一打同点の場面で、新庄監督は4番手として上原健太投手をマウンドへ送りました。

上原投手は最初の打者に四球を与え、二死満塁とさらにピンチを広げてしまいます。しかし、続く代打・上田希由翔選手をショートゴロに打ち取り、この回をなんとか切り抜けました。

新庄監督は9回も上原投手を続投させます。その理由を「(この日は風が強く)新しく投げるピッチャーはこの風でコントロールしづらいと思って。やっぱり一回でも投げているピッチャーの方が感覚分かるじゃないですか」と説明。指揮官は、マウンドの感覚を掴んでいる上原投手に試合を託しました。

上原投手はその期待に応え、9回を無失点に抑えて試合終了。ファイターズは苦しみながらも、劇的な勝利を手にしました。

第4部:新庄監督が語る「緊張感が成長につながる」

試合後、新庄監督はまず、粘りを見せたロッテを称賛しました。 「やっぱり勢いありますね。前の試合で、ソフトバンクさんにいい勝ち方してたので」

そして、多くのファンがひやひやしたであろう展開について、監督は異なる視点を示します。 「ヒリヒリしたと思いますけど。(中略)この緊張感が成長につながるので」

楽な展開から一転してピンチに陥り、それをチームで乗り越えた経験こそが財産になるという考えです。8-0の圧勝からは得られない、極限のプレッシャーの中でのプレーが、チームを成長させるための試練だと捉えているようでした。

監督は、選手たちが感じたプレッシャーの大きさを「(八回)2死満塁で、(もし)高いフライが来たらペンギンのように追いかけてポトッと落とす、みたいな(笑)」とユーモアを交えて表現。この日の苦しい勝利は「失敗」ではなく、未来への「糧」であると、チームとファンに示しました。

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