ファイターズ打線が初回一挙6点、オリックスに快勝。新庄監督の采配光る

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序盤の猛攻で試合を決定づけ、対戦成績を五分に戻す

2025年9月11日、エスコンフィールドHOKKAIDOで行われた北海道日本ハムファイターズ対オリックス・バファローズのシーズン最終戦は、ファイターズが10-4で快勝しました。この勝利により、ファイターズは今季のオリックスとの対戦成績を12勝12敗1分とし、五分の成績でシーズンを終えることとなりました。

試合後のインタビューで新庄剛志監督が「今日大事だったんですよ。前回はオリックスさんに3連敗してたんで」と語ったように、この一戦はチームにとって重要な意味を持っていました。前回の対戦で喫した3連敗の雪辱を果たすべく臨んだ試合で、ファイターズ打線は初回からその強い意志を体現するような攻撃を見せました。

試合を決めた初回:5連打を含む猛攻で6得点

この試合のハイライトは、間違いなく初回裏のファイターズの攻撃でした。オリックスの先発・東松快征投手に対し、ファイターズ打線が開始直後から襲いかかります。

その口火を切ったのが、この日「1番・レフト」で起用された野村佑希選手でした。野村選手がレフト前にクリーンヒットを放つと、打線は一気に繋がります。続く2番・今川優馬選手もライト前ヒットで続き、無死一、二塁のチャンスを作りました。ここで打席に立った3番のアリエル・レイエス選手が、センターオーバーの先制タイムリーツーベースを放ち、まず1点を挙げます。

攻撃は止まりません。なおも無死二、三塁の場面で、4番・郡司裕也選手がセンター前へ、5番・清宮幸太郎選手がライト前へと、それぞれタイムリーヒットを放ち、あっという間にスコアは3-0となりました。先頭からの5連打という、まさに圧巻の攻撃でした。

6番・松本剛選手がサードゴロに倒れ、ようやく1アウトを取られたものの、一、三塁とチャンスは続きます。ここで7番・山縣秀選手がレフト前にタイムリーを放ち4点目。この時点でオリックスは先発の東松投手を諦め、2番手の髙島泰都投手にスイッチ。しかし、ファイターズの勢いはこの投手交代でも衰えません。代わったばかりの髙島投手から、8番・奈良間大己選手がレフトオーバーのタイムリーツーベースを放ち5点目。最後は9番・田宮裕涼選手のレフトへの犠牲フライで、この回6点目を挙げました。

新庄監督の采配が的中:「1番・野村」起用の意図

初回の猛攻の起点となったのは、1番に抜擢された野村選手でした。新庄監督は試合後、この起用について明確な意図があったことを明かしています。

「あんまり調子が良くないバッターに対して何も考えずに、ちょっと初球からどんどん行ってほしいっていう意味で」と監督は語りました。状態が万全ではない選手に対し、複雑な状況判断のプレッシャーから解放し、「積極的に振っていく」というシンプルなタスクを与えることで、本来の打撃を取り戻させようという狙いがあったのです。さらに、「本人にも3本は今日打とうやっていう話はした」と、具体的な目標設定で選手を鼓舞していたことも明かしました。

このアプローチは、見事に機能しました。野村選手が初回の先頭打者としてヒットを放ったことで、チーム全体に勢いが生まれます。監督が「やっぱ先頭バッターが初回にああいうヒットを打ってくれると乗るんでね」と振り返ったように、この一本が6点につながる号砲となりました。この結果は、選手の心理状態を読み取り、パフォーマンスを最大限に引き出す新庄監督のマネジメント手法が、試合の勝敗に直接結びついたことを示しています。

緩めない攻撃と盤石の投手リレー

初回に大量リードを奪った後も、ファイターズの攻撃は続きました。3回裏には、二死二塁から今川選手がレフトへタイムリーツーベースを放ち、リードを7-0に広げます。

試合中盤の6回表にオリックスに3点を返され、スコアが7-3となった直後の6回裏には、すぐさま反撃。一死満塁のチャンスを作ると、代打で登場した万波中正選手がセンターへタイムリーヒットを放ち、点差を再び広げました。この回に計3点を追加し、スコアを10-3とすることで、オリックスの追撃ムードを断ち切ります。試合を通して計16安打を記録した打線は、一過性のものではない持続的な攻撃力を見せつけました。

投げては、先発の北山亘基投手が安定した投球で試合を作り、今季9勝目を挙げました。大量援護に守られながらも、要所を締めるピッチングでオリックス打線に付け入る隙を与えませんでした。

勝利の中に見る監督の視点:称賛と課題の指摘

試合後、新庄監督は「よう打ってくれましたよ」と、打線を素直に称賛。特に、1番・野村選手と2番・今川選手の連打が3番・レイエス選手の長打に繋がった流れを評価しました。

しかし、その一方で、監督の視点は細部にも向けられていました。10-4という大差の勝利にも満足することなく、課題を指摘することも忘れません。

「あとは走塁ね。やっぱあれ、今川くんは帰ってこないといけない。モーレのヒットで。ああいう1点は大事に取っておかないといけないですね」

これは初回、レイエス選手が二塁打を放った場面での今川選手の走塁を指しています。監督は、あの場面では一塁から生還すべきだったとの見解を示しました。大勝した試合であっても、一つの走塁ミスを見逃さず、その1点の重要性を説く。この厳しい姿勢は、チームに慢心や気の緩みが生まれることを防ぎ、常に完璧なプレーを追求する文化を醸成します。スコアに関わらず、プレーの質そのものを評価基準とする監督の哲学が垣間見えるコメントでした。

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