レアル・ソシエダ新監督マタラッツォ就任:久保建英に訪れる大きなチャンス

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レアル・ソシエダが新たに迎えた指揮官は、ドイツで実績を積んだペッレグリーノ・マタラッツォ監督だ。チームは今季開幕から低迷し、Bチーム出身のセルヒオ・フランシスコ前監督の下でリーグ戦16試合で4勝4分8敗と苦しみ、降格圏もちらつく状況だった。

そこで白羽の矢が立ったのが48歳のマタラッツォ監督である。シュツットガルトの1部昇格やホッフェンハイム残留争いの経験を持ち、12月20日に2026-27シーズンまでの契約で就任が発表された。長身で知的な風貌の新指揮官が、バスクの地にどんな新風を吹かせるのか注目が集まっている。


ドイツ仕込みの戦術スタイル

マタラッツォ監督はアメリカ出身ながら、指導者としてはドイツでキャリアを積んできた異色の経歴を持つ。2019年末にトップチーム初采配となったVfBシュツットガルトでは、ブンデス2部のチームを昇格に導き、以降約3年間にわたり指揮を執った。

当時主将だった遠藤航を中盤の要に据え、伊藤洋輝を含む若手も起用しつつチームを躍進させた実績がある。現ドイツ代表監督ユリアン・ナーゲルスマンの下で学んだポゼッション戦術のメソッドも持ち合わせるが、基本志向は「ハイプレス&トランジション」である。

前線から積極的にプレッシャーをかけ、ボール奪取から素早くゴールを狙うダイナミックなサッカーを展開するのがマタラッツォ流だ。守備時には5-3-2のブロックを作ってコンパクトに構えるのが基本形で、攻撃時には3バックの両翼が高い位置まで押し上げる可変システムを用いることが多い。

実際シュツットガルトでは3-5-2や3-4-2-1といった布陣を好んで採用しており、高さのあるターゲット役のFWを軸にロングボールやクロスも交えていたのが特徴だ。一方で相手にボールを持たれた際も「相手のボールであっても主導権を握る」ことを重視し、ブロックを維持しながら隙あらば素早い出足でプレスをかけて主導権を渡さない戦い方を目指す。

総じてマタラッツォ監督は、高いインテンシティと緻密な戦術を融合させたモダンなスタイルの持ち主と言えよう。


現有戦力との相性と変化の可能性

新監督の戦術スタイルは、レアル・ソシエダの現有戦力にどのような影響を与えるだろうか。これまでソシエダは4-3-3を基調にボールポゼッションを重視するサッカーを展開してきたが、昨季終了後に中盤の要だったミケル・メリーノとマルティン・スビメンディが揃ってアーセナルへ去り、チームスタイルの転換を迫られていた経緯がある。

守備陣を見ると、新指揮官が好む3バック制への移行も現実味を帯びる。現メンバーにはイゴル・スベルディアに加え、主力CBであるジョン・マルティンやジョン・パチェコなど複数のセンターバックが揃い、両ウイングバック候補には攻守にハードワークできるセルヒオ・ゴメスやアイエン・ムニョスがいる。

中盤では昨季台頭した若手ルカ・スチッチら新戦力に加え、経験豊富なヤンヘル・エレーラも加わり層は厚みを増した。彼らをどのように組み合わせるかで布陣は変動し得るが、例えば3-4-2-1で臨む場合、3センターバックの前に守備的MFを置き、2シャドー(攻撃的MF)の一角に久保建英を起用するといった形も考えられる。

攻撃面では、前線にフィジカルと高さを持つ選手(オヤルサバルを含む複数のFW、あるいは補強候補)をターゲット役とし、その周囲を2シャドーの久保やブライス・メンデスが素早く連携して崩すイメージだ。元来ソシエダの選手はテクニックに優れパスワークを得意とするだけに、監督の志向するトランジション戦術とのマッチング次第では新たな攻撃オプションが開花する可能性がある。


久保建英に求められる役割:3つのシナリオ

日本人としては久保建英に対する期待がやはり高まる。マタラッツォ新体制の中で、久保は攻撃陣のキープレイヤーとして重要な役割を担う可能性が高い。

昨季リーグ戦ではチーム2位の5ゴールを挙げ、守備でもハードワークを厭わない献身性を見せていた久保にとって、高強度のプレスと素早い攻守切り替えを志向する新戦術はフィットしやすい土壌がある。

シナリオA:3-4-2-1の「右シャドー」(最有力)

これが最も有力かつ、久保の能力を最大化する起用法である。

ホッフェンハイム時代、マタラッツォ監督はアンドレイ・クラマリッチに「絶対的な自由」を与えた。彼はトップ下の位置から左右に流れ、ライン間でボールを受け、ゲームメイクからフィニッシュまで全ての攻撃局面に顔を出した。

久保は、狭いスペースでのボールコントロール、瞬時の判断力、そして左足の高精度のシュートという点で、クラマリッチと多くの共通点を持つ。3-4-2-1の右シャドー(右の10番)として起用された場合、久保は以下の恩恵を受ける。

  • 守備負担の軽減:ウイングバックがサイドの守備を担当するため、久保は自陣深くまで戻る必要がなくなり、高い位置でカウンターに備えることができる
  • ハーフスペースの支配:タッチライン際に張る必要がなくなり、ゴールに近い中央寄りの「ハーフスペース」で常時プレーできる
  • ターゲットマンとの連携:オヤルサバルらがDFを引き付けた背後のスペースに、久保が飛び込む形は、マタラッツォが好む得点パターンそのものである

シナリオB:3-5-2の「セカンドトップ」

よりゴールに直結する役割としての起用法である。

ホッフェンハイムにおいて、マタラッツォはターゲットマンの隣に機動力のあるセカンドストライカーを配置した。久保を2トップの一角として起用する場合、彼は「偽9番」的な動きと「裏抜け」の双方を求められる。

ゴール前でのプレー頻度は最大化され、特にカウンター時には彼のスピードとドリブルが脅威となる。

シナリオC:3-4-3の「インバーテッド・ウイング」

シュツットガルト時代、マタラッツォはサイラス・カトンパをサイドからの圧倒的なドリブル突破で起用した。久保のドリブル能力を考えればこの役割も可能だが、守備時に最終ラインまで戻るスプリント能力とフィジカルコンタクトが求められる。

久保をこの役割に固定することは、彼の守備負担を増大させ、攻撃時の鮮度を落とすリスクがあるため、限定的、または試合終盤のオプションになると予想される。


スペインメディアと専門家の見立て

マタラッツォ新監督招聘のニュースに対し、現地スペインのメディアや専門家からは様々な声が上がっている。驚きの人事との指摘もある一方、「選手育成に定評がありスタイルも魅力的だ」と好意的に評価する向きも強い。

実際、レアル・ソシエダは伝統的に下部組織スビエタから若手を輩出してきたクラブであり、シュツットガルト時代に若手起用で成果を出したマタラッツォ監督の手腕はその理念に合致する。

また「ラ・リーガ史上初のアメリカ人監督」という話題性もあり、現地では「第二のテッド・ラッソの登場だ」とユーモア混じりに歓迎する声も聞かれる。

肝心の戦術面については、「ブンデスリーガで見せたハイプレススタイルがソシエダに新たな推進力を与える」と期待するコメントが多く、新指揮官のもとでチームが攻守に生まれ変わる可能性に注目が集まっている。

もっともシーズン途中の就任だけに「まずは残留が最優先」と現実的な目標を説く声もあり、まずは降格圏からの脱出が急務だ。


まとめ:久保建英は「チームの心臓」となる

ドイツで実績を積んだマタラッツォ監督が、日本人選手(遠藤航、伊藤洋輝)を指導した経験を持つことも心強い。日本人選手の特長を理解し信頼を置いてくれる可能性も高い。

実際、スペイン紙『マルカ』は「マタラッツォ監督のスタイルは久保との相性が気になるところだ」と報じており、欧州メディアも新体制下での久保の活躍に熱い視線を送っている。

マタラッツォは、戦術的な規律を重んじる一方で、特別な才能を持つ選手には自由を与えるリアリストである。久保建英が持つ「違いを生み出す力」は、残留争いの中で喉から手が出るほど欲しい要素であり、新監督は久保を中心としたチーム作りを進めることに躊躇しないだろう。

データ上、久保は「ファイナルサードでのパス数」や「ドリブル成功数」でリーグトップクラスの数字を残しており、マタラッツォの志向する「縦に速い攻撃」のスイッチを入れる役割として、これ以上ない適任者である。

久保建英という日本人アタッカーを擁するレアル・ソシエダが、新指揮官の下でどんな化学反応を見せるのか――。その行方は、サッカーファンならずとも大いに注目すべきドラマとなりそうだ。

「久保建英選手の最新試合結果については、レアル・ソシエダ公式サイトをご覧ください。」

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