9月21日、エスコンフィールドHOKKAIDOで行われた千葉ロッテマリーンズ戦で、北海道日本ハムファイターズが7-2の快勝を収めた。投打ががっちりと噛み合った試合運びで、首位とのゲーム差を2.5とした。
同日、首位を走る福岡ソフトバンクホークスがオリックス・バファローズに1-2で敗戦したため、2位ファイターズとのゲーム差は一気に2.5まで縮まった。シーズン最終盤のペナントレースは、いよいよ緊迫の度合いを増してきた。
序盤の集中打で試合の主導権を掌握
ファイターズは試合開始直後から、ロッテの先発・小島和哉投手に襲いかかった。初回、一死一塁の場面で打席に立ったのは、現在9試合連続安打と絶好調の水谷瞬。小島が投じた初球を完璧に捉えると、打球は右中間スタンドに飛び込む先制の第12号2ランホームランとなった。この一打で水谷は自身のキャリアハイを更新する41打点目を記録し、チームに大きな勢いをもたらした。
圧巻だったのは3回裏の攻撃だ。一死二塁から、2番のアリエル・レイエスがライトへ痛烈なタイムリー二塁打を放ち3点目。さらに二死二塁となり、4番の郡司裕也が打席へ。郡司が振り抜いた打球は左中間へぐんぐん伸び、リードを5点に広げる第9号2ランホームランとなった。
先発・福島蓮が試合を作り、デビューから無傷の5連勝
マウンドに上がった先発の福島蓮は、強力な援護を背に安定した投球を見せた。5回を投げて98球、被安打5、3奪三振、2失点という内容で試合を作り、今季5勝目をマーク。これでデビュー以来の連勝を5に伸ばし、負けなしの快進撃を続けている。
唯一の失点は4回。二死から池田来翔、佐藤都志也に連続タイムリーを浴び2点を返されたが、後続を断ち切って大量失点には繋げなかった。試合の流れを相手に渡さない粘りの投球は、まさに「勝てる投手」の姿そのもの。圧倒的な内容ではなくとも、チームを勝利に導くために最低限の仕事はきっちりとこなす。その信頼感が、今の福島の無敗記録を支えている。
盤石のリリーフ陣とダメ押しの追加点
福島の後を受けたリリーフ陣も完璧な仕事ぶりを見せた。6回から田中正義、金村尚真、玉井大翔、杉浦稔大とつなぎ、4イニングをわずか被安打1の無失点リレー。特に8回を任された玉井は、わずか8球で三者凡退に抑える圧巻の投球で、ロッテ打線に反撃の糸口を一切与えなかった。
打線は6回裏、試合を決定づける追加点を奪う。二死満塁の好機を作ると、9番の田宮裕涼、続く1番の万波中正が、連続で押し出し四球を選び2点を追加。スコアを7-2とした。序盤の長打による攻撃とは対照的に、相手投手の制球の乱れを逃さず、粘り強い打席で得点に結びつけた。パワーだけでなく、選球眼と忍耐力でもぎ取ったこの2点は、ファイターズ打線の成熟度と多様性を示すものだった。
新庄監督「全員で、チームが一つになって勝っていくだけ」
試合後、新庄剛志監督はチームの一体感を強調した。9試合連続安打と好調の水谷について問われると、「もうもうもう、それはもういい。みんなで勝つだけです」と個人の記録よりもチームの勝利を優先する姿勢を明確にした。さらに「誰が活躍しようが誰がミスをしようが、関係ない。全員で、チームが一つになって勝っていくだけなので」と続け、総力戦で優勝を目指す覚悟を示した。
レイエスを2番に置く打線が機能しているとの指摘には、「今シーズン、全て機能していますけどね」と笑みを浮かべつつ、自身の采配について語った。「もう固定とか、そういう問題でもない。相手投手に合わせて、この選手でいくと決めたら信頼して。それぐらい、何十通りも考えて考えて、こっち(球場)に来てまた変わるという。それくらい慎重にやって。そうでないと取りこぼしをしてしまうからね」。日替わりとも言える柔軟なラインナップが、緻密な分析と信頼に基づいたものであることを明かした。
また、この日の試合では、宮西尚生の通算900登板を本拠地のファンの前で達成させたいというプランがあったことも吐露した。9回にダブルプレーで試合が終了したため実現はしなかったが、「リクエストしようかと思ったもん(笑)。セーフやろと。それぐらい投げさせたかったね、きょうは」と語り、ベテランへの敬意と配慮をのぞかせた。個人の記録を意に介さない一方で、選手のキャリアにおける節目を大切にする。そのバランス感覚が、チームの結束力を高めている。
逆転優勝へ、加速するシーズン最終盤
首位ホークスとのゲーム差は2.5。逆転優勝への道は依然として険しいが、その可能性を繋ぐ一勝となった。新庄監督は、勝利への執念を隠さない。翌日の試合の先発に、中4日でエースの伊藤大海を起用することを明言した。その意図を問われると、指揮官の答えは簡潔かつ力強かった。
「勝つために。勝つためにやるだけです」
レギュラーシーズンは残りわずか。もはや一戦も落とせない状況で、チームは完全に短期決戦モードに突入した。この日の快勝を号砲に、ファイターズが逆転優勝へのラストスパートをかける。
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